捕らえる・捉えるの違い「心をとらえる」など漢字の使い分けについて
記事公開日:2017年12月13日
最終更新日:2019年11月25日
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捕らえると捉える。
どちらもとらえると読みます。
そしてどちらもつかまえるみたいなニュアンスですね。
例えば、
「鷹で獲物をとらえる」
という場合には、いったいどちらの漢字を使えばよいのでしょうか。
なんだかどちらでも使えそうな感じですよね。
しかし、字が違えばやはり意味も違うはずです。
なんとなく違うような気はするのですが、具体的にどう違うのでしょうか。
今回は読み方も一緒で意味も似ている漢字、
捕えると捕えるの違いや使い分け方法についてまとめました。
まずはそれぞれの意味を見てみましょう
捕らえるの意味
まず捕らえるの意味を見てみましょう。
- 捕らえるの意味
- 生き物をつかまえる。捕獲する。
- 逃げる人をとりおさえる。
- はなすまいと手でしっかりとつかむ。
こうして見ると、物理的に人や物、生物などをつかまえる時に使うのが捕らえるになります。
そして先ほどからつかまえるという言葉を使ってますが、捕らえるとつかまえるは同義です。
また漢字も同じ字を使います。
捕まえるという風に書きます。
この送り仮名ですが、学生の間は間違えると点数をもらえないのでしっかりと覚えますが、大人になると適当に送り仮名を書く人がいます。
つまり、
「捕らえる」と書くべきところを、
「捕える」という送り仮名にしてしまうケースですね。
この送り仮名で書いてしまうと下記のようになります。
とらえる→捕える
つかまえる→捕える
つかまえる→捕える
こうなると全く同じになってしまい、読めませんよね。
ですので、この字を使う時は、送り仮名にも気を配る必要があります。
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捉えるの意味
今度は捉えるの意味を見てみましょう。
- 捉えるの意味
- ある物事を確実に自分のものとする。手に入れる。
- 物事の本質・内容などを理解して自分のものとする。把握する。
- 感覚にはっきりと感じとる。
- 強く関心を引く。自分に引きつけて影響を与える。
少し意味が広いですが、物理的に捕まえる以外のとらえるは捉えるとなります。
いくつか意味がありますが、そのほとんどが把握するに近いですね。
例えば若者の心を捉えるという言葉があります。
これは把握するとは少し意味が違う感じがしますが、若者の心を把握していないと捉えることはできません。
今度は例文を少し変えましょう。
若者の心を捉えて離さないとします。
把握という言葉にはしっかりとつかむという意味があります。
捉えて離さない、そのまんま把握ですね。
ですので、把握の意味のとらえるは「捉える」と覚えるといいでしょう。
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「捕らえる」と「捉える」の違い
ここまでで意味の違いはもうバッチリですね!
漢字の成り立ちでは捉は、てへんが手の意味で、足は足が止まった状態を表しています。
つまり手で相手をつかまえて、相手は足が止まった状態になることを意味しています。
要するに、捕らえると同じ状態です。
なので、以前はどちらを使うか迷うところでした。
これがある日、捉の字が常用漢字ではなくなりました。
常用漢字でなくなると、新聞や雑誌などは使うことができなくなります。
こうなるとすべてを「捕らえる」と漢字で書くか、「とらえる」とひらがなで書くかのどちらかです。
そしてこれが2010年11月、捉がまた常用漢字に加えられました。
ここからとらえるの使い分けが新聞や雑誌などで始まったのです。
- 捕らえる→物理的につかまえる
捉える→把握する
この意味に沿って使い分けられていきます。
こうして今のとらえるの意味が確立されて、現在に至るわけです。
常用漢字から外れる、そしてまた加えられる、ここから意味の違いが始まる。
何か漢字ひとつにしても物語がありますね。
使い方と例文
まずは捕らえるの使い方を見てみましょう。
どれも物理的につかまえてますね。
次は捉えるの使い方を見てみましょう。
やはり把握という意味です。
そしてタイトルにもあった心をとらえるですが、この捉えるが正解ですね。
さて、上の捕らえるは目に見えるものを捕えていて、捉えるのほうは目に見えないものを捉えています。
簡単に言えば、どれもその通りですよね。
さあ、目に見えるもの、目に見えないものと言いましたが、ここで問題があります。
野球で「変化球をとらえる」という言葉を使いますが、この場合はどちらが正解でしょうか?
変化球は目に見えるから捕らえる?
いやいや、頭の中で「変化球が来る」というヨミが当たって行動に移すわけだから捉える?
実際にWEB検索してみると両方ともあります。
ただヒット数に大きな違いがありました。
ということで、この時点では捉えるが正解のようです。
詳しく解説しますと、この場合のとらえるはバットで打つことだから、物理的につかまえるということをしません。
この場合は、変化球がどの辺りにくるのか、そしてバットをどう振ればいいのかというバットとボールの当たり所をとらえる、把握するという意味になります。
なので、この場合は捉えるが正解となります。
日本語って難しいですね。
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まとめ
今回はとらえるについてまとめました。
まずは意味のおさらいです。
- 捕らえる → 物理的につかまえる
捉える → 把握する
そして捉が常用漢字に追加されてから、意味の使い分けが始まったこともわかりました。
これでとらえるについては正しい使い方ができますね。
冒頭文に出てきた、
「鷹で獲物をとらえる」
もどっちを使えばよいか、おわかりですね。
答えは両方使えます。
鷹で獲物を捕らえる
人間が鷹を使って獲物をつかまえる 鷹を使っている人間が主体
鷹で獲物を捉える
鷹が獲物を把握する。捕捉する 鷹が主体
下の文章は「鷹が獲物を~」の方がより自然な日本語ですね。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ
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