レアアースとレアメタルの違い!問題になるのはなぜ?
記事公開日:2022年10月22日
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スマホやPC等、現代人の生活に欠かせない機器の基盤に使われているらしい、レアアースやレアメタル。
国際情勢によって供給不足になって問題になったりしていますよね。
どうして、何が問題になるのか?
ニュースでも極マレに、しかもちょっとだけ話題になる程度で、良く知らないですよね。
そしてレアアースとレアメタルは何が違うのか?
ふとした瞬間にこういうの気になってきますよね。
ここでちょっとチェックして、スッキリしておきましょう!
というわけで今回は、
- レアアースとレアメタルの違い
- 具体的に何に使われているの?
- なぜ問題になるのか?
この3つを見ていこうと思います!
レアアースとレアメタルの違い
では早速、レアアースとレアメタルの違いをチェックしていきます!
周期表を思い出してみてくださいね。
レアアースとは
まずはレアアースから見ていきます。
- レアアースとは
レアアースとは、17種類の希土類の総称です。
具体的には、
Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロビウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビニウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)
この17種類です。
「レア」という言葉が付く通り、レアアースは存在が稀な元素という意味です。
スカンジウムとイットリウム以外の15元素はランタノイドと呼ばれ、メンデレーエフの周期表のランタンの枠に「ランタノイド」として15の元素が収まっています。
普通は周期表の一つの枠には一つの元素ですが、ランタノイドは複数あるんですね。
メンデレーエフの周期表では性質を分けることができなかったんですね。
なんか不思議な感じですよね。
これは後年明らかになったある電子が原因だったのですが、話がややこしくなるので割愛します。
気になる人は4f電子を調べてみてくださいね!
レアメタルとは
海外ではマイナーメタルと呼ばれるレアメタルですが、日本語にしたら希少元素です。
簡単に表現するよりも、ここは専門家の言葉を借りて紹介します。
- レアメタルとは
ここからは、ブルーバックスの「元素118の新知識」という本から引用します。
希少元素とは、鉄、アルミニウム、銅、鉛と亜鉛以外の元素であり、次のいずれかの条件を満たすものをいう。
1.地球上での天然存在量がきわめて少ない。
2.地球上での存在量は多いが、経済的に見合う純度の鉱石が少ない。
3.地球上での存在量は多いが、純粋な単体元素として抽出することが困難である。
4.抽出しても特性が分からず、用途も不明である。
実際には地球上に存在する元素のうち、存在度が0.1%以下の79元素を希少元素とよんでいる。
引用:元素118の新知識(桜井弘)
つまり、レアアースとはレアメタルの一種というコトになりますね。
レアメタルの中の、一部の金属がレアアースと呼ばれているんですね。
ちなみに、経済産業省のサイトでは、レアメタルは31鉱種とされていました。
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何に使われているのか?
では、レアアースとレアメタルは何に使われているのかという所をみていきましょう。
携帯電話とかに使われているのは聞いたことがありますが、どんな金属が何に使われているのか意外と知らないですよね。
ココで整理していきますよ!
レアアースとレアメタルを分けて扱うのもややこしくなるので、ここではレアアースもレアメタルとします。
- レアメタルの使用目的
- ネオジム、ジスプロシウム:高性能モーターなど(PC、エアコン、ハイブリッド車、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)
- タンタル:電子機器の電子基板(PC、携帯電話)
- セリウム、ランタンなど:液晶パネル、廃ガス触媒、研磨剤など
- イットウリウム:テレビの蛍光体など
- リチウム、コバルトなど:小型二次電池(ハイブリッド車、PC、携帯電話)
- チタン:航空機、原子力プラントなど
- プラチナ:自動車触媒、宝飾品など
- ニッケル:ステンレス鋼、ニッケル水素電池など(ハイブリッド車)
- タングステン、バナジウムなど:超硬工具、特殊鋼など(工作機械)
- モリブデン:鋼材、顔料など
- ホウ素:合金添加剤、耐熱ガラスなど
- バリウム:X線造影剤、光学ガラスなど
こうして見ると、現代社会には必要不可欠ですよね。
自動車や携帯電話、PC等の家電に使用されているレアメタルは回収できるものもあります。
なので、リサイクルに回せばまた使用できることもあるんです!
ただでさえ少ない資源で、世界情勢によっては問題になることもあるので、リサイクルで循環させたり代替素材の開発が重要になってくるんですよね~…
そもそも、どうして問題になるんでしょう?
ちょっと次の項目で見ていきましょう。
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問題になるのはなぜ?
ではでは、レアメタル問題について見ていきましょう。
まず、こんなに生活に密着した道具に必要な金属なのに、現状の国内にはそれを産出できる鉱山が無いんです。
つまり、輸入に頼ることになります。
100%輸入に頼っているけれど、日本のレアメタル消費量は世界的に見ても多いんです。
この2点が、日本のレアメタル問題の土台です。
複数の国でレアメタルが産出できるのであれば、各国の情勢に合わせてどこから輸入するか選べるのですが…
これが選べないんです!!
レアメタルの中でも、特にレアアースは中国が世界の80%を占めています。
次がオーストラリアで13%です。
埋蔵量も中国が最も多く40%後半、次がブラジルで20%程です。
レアアース市場は中国の独壇場です。
なので、中国との関係が悪化すると輸入量が減ってしまう可能性があるんですよね。
実際に、2010年に尖閣諸島問題で中国との関係が悪化した際には日本へのレアアース輸出に制限をかけた可能性がありました。
「外交上の問題で輸出を停止する」という行為は世界貿易機関(WTO)の取り決めに違反します。
さらに、中国に限らず輸出停止の判断は戦争につながる可能性があり危険です。
なので、2010年の時も完全な輸出停止までは至らなかったかもしれませんが、停滞はあったようです。
レアメタルを活用した商品や技術が売りの日本にとってレアアースの輸出停止や制限は産業へ大きな影響があったはずです。
もはやレアメタルの安定確保は国家的な重要課題と言えます。
この課題に対しての現行の施策は以下のような感じです。
あとは、埋蔵国への働きかけなどもあるようですが、思うように進んでいないようですね。
なかなか大変です…
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まとめ
今回はレアメタルとレアアースの違いについて紹介しました。
レアアースはレアメタルの一種で、特定の17鉱種ということでした。
日本ではかなり重要な輸入品であることも分かったと思います。
ここ最近は目立って問題になることもないですが、産出国である中国との関係が悪化すると輸出制限によって問題になってくる可能性もあるんですよね。
今回は色々な資料を参考にしているのですが、一番分かりやすくレアメタルについてまとめている資料を紹介します。
>>レアメタル資源確保の現状と課題
2010年の資料なのでちょっと古いのですが、やはりこの年はレアメタル問題を重視していたのだと思います。
また、日本には産出鉱山が無いと言いましたが、実は南鳥島(小笠原村)EEZ内海底泥にレアアースが発見されています。
この辺りの採掘がうまく進むかどうか…?
という感じでしょうか。
最近の報告も見ることができます。
>>南鳥島周辺海域のレアアース資源開発に向けた技術開発に関する報告
因みに「EEZってなんだっけ?」って時は、こちらの記事をどうぞ!
>>排他的経済水域(EEZ)と領海の違い!接続水域ってなんなの?
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ
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