「謹んで」と「慎んで」の違い!お悔やみやお詫びの場合はどっちを使う?
記事公開日:2017年1月21日
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「つつしんで」を漢字で書くと二通りありますよね。
すなわち、
「謹んで」と「慎んで」。
どちらも奥ゆかしい印象のある言葉遣いで、ちゃんとした挨拶をするときなどに使いますが、この二つの漢字にはどのような違いがあるのでしょうか。
お悔やみやお詫びおする時の文句としては、どちらを使うのが適切なのでしょうか。
今回は、二つあるつつしみ、「謹んで」と「慎んで」の違いについてまとめました。
それではさっそくみていきましょう。
「謹んで」の意味
まずは「謹んで」の意味からみていきましょう。
「謹んで」はもともと、「つつしみて」から変化した副詞です。
大まかにいうと、
「かしこまって~する」
という意味になり、式典のスピーチや目上の人への御礼状など、かしこまった場面で使われることが多くなります。
「謹んで」の意味は、年賀状を考えるとわかりやすいかもしれません。
年賀状に書かれる「謹賀新年」には、おごそかな気持ちで謹んで新年を迎える、という意味が込められており、目上の人への年賀状に使うのがマナーとされています。
また、手紙の冒頭に書く「謹啓」にも、相手を敬ったうえで暮らしむきを気遣うニュアンスが込められています。
「慎んで」の意味
対して、「慎んで」の方はどうでしょうか。
この漢字を使うケースとしては、
などがあります。
「慎」を使った言葉には、
- 何かを抑制する
- 態度や言動をひかえめにする
- 分相応に振る舞う
といったニュアンスがあります。
物静かで謙虚な女性のことを「慎ましい女性」と言ったりしますよね。
「慎んで」が使われた場合には、まわりの状況に合わせて空気を乱さないようにふさわしい行動を取る、という意味になるようです。
「慎み深い」などもこちらの漢字が使われます。
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違いは?
さて、ではここで、「謹んで」と「慎んで」の違いついてみていきましょう。
「謹んで」と「慎んで」の違い
「謹んで」は、相手に敬意を払っておごそかな態度で接する。
「慎んで」は、自分自身がこれ以上の叱責を受けないようにおとなしく行動する。
「謹んで」は、相手に敬意を払っておごそかな態度で接する。
「慎んで」は、自分自身がこれ以上の叱責を受けないようにおとなしく行動する。
言葉のもともとの意味から考えた場合、このような違いが浮かんできます。
結婚式や卒業式の祝辞で「謹んで」のほうが使われるのも、おごそかな、というニュアンスが込められているためと考えれば納得ですね。
文法上の違いでいうと、「謹んで」は副詞なので品詞の活用(形が変わること)はありません。
「謹んで御礼申し上げます」
なら、動詞「申し上げる」を「謹んで」が修飾していることになります。
一方、「慎んで」は動詞なので、他の品詞を修飾することはありません。
ちなみに、「謹しんで」、「慎しんで」と書く人がたまにいますが、これは誤りとなります。
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例文をチェック!
さて、ではここでいくつか例文を挙げてみましょう。
- 謹む
かしこまって~する。
- 慎む
自分自身の言動をひかえめにする。
上記の意味の違いのポイントをおさえておけば、使い分けも楽になると思います。
それでは例文をみてみましょう。
- 例文
「平素よりの御尽力に謹んで御礼申し上げます」
「専務取締役という大役を謹んでお引き受けいたします」
「この度の不祥事について謹んでお詫びいたします」
「あらたまった会議の席では口を慎むべきだ」
しばしば、「慎んでお詫び申し上げます」のように書く場合がありますが、正しい書き方ではありません。
相手に敬意をもって誠実に頭を下げることですので、この場合は「謹んで」を使うのが正解となります。
お悔やみの場合も同様です。
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まとめ
「謹んで」はかしこまって、というニュアンスが込められているので、御礼状や式典でのスピーチなど、かしこまった場面で使われることが多い言葉です。
「慎んで」は態度をひかえめにする、周囲の状況に合わせてふさわしい行動を取る、という意味があります。また、処分などを甘んじて受け入れ、しばらく一線を退く意味でも使われます。
敬意を込めるべき場面で使われるのは「謹んで」のほう。
したがって、お悔みやお詫びの場合は「謹んで~申し上げます」のような言い方が正解となります。
「謹む」という感じは謹賀新年など、お正月のおめでたい場合に使ったりするので、
「ひょっとして慎んでの方がよいのでは?」
と、一瞬心配になってしまいますよね。
「謹む」自体にはおめでたい意味はなく、
気をひきしめておろそかにしない。
物事に念を入れる。
恐れ敬って、ていねいにする。
物事に念を入れる。
恐れ敬って、ていねいにする。
という意味なので、弔電やお悔やみの言葉の場合も「謹んで」で問題ありません。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
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