「覗う」と「窺う」と「伺う」の違い!「ようすをうかがう」はどっちが正解?
記事公開日:2017年10月14日
最終更新日:2019年11月25日
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「ちょっと後ほど様子をうかがいにいきます。」
と言った時の、うかがう。
漢字に直すと、以下の3つの漢字が当てはまる可能性がありますよね。
- 伺う
- 窺う
- 覗う
上記の例文にはどの「うかがう」が当てはまるのでしょうか。
「パッ」と答えは分かりましたか?
さて、この三つの漢字にはどのような使い分けが必要なのでしょうか。
今回はちょっとややこしいこの三つの「うかがう」の意味や使い分けについてまとめました。
まずはそれぞれの意味を見てみましょう。
目次
伺うの意味と使い方
伺うの意味
まずは「伺う」の漢字の意味からチェックしてみましょう。
調べてみると以下のようになっています。
- 伺うの意味
- 「聞く」「たずねる」「問う」をへりくだっていうことば
- 「訪れる」「訪問する」をへりくだっていうことば
「へりくだって」ということなので、謙譲語になります。
例えば「後で聞く」という内容を相手に伝えたいとします。
この時に丁寧語であれば「後で聞きます」となります。
これを謙譲語、自分がへりくだることによって相手を立てたい場合は「後で伺います」となります。
また尊敬語になると「後でお聞きします」ですね。
種類 | 言い方 |
通常 | 後で聞く |
丁寧語 | 後で聞きます |
謙譲語 | 後で伺います |
尊敬語 | 後でお聞きします |
これの語源は、目上の人の様子をうかがいみるという意味があり、その行動自体が相手を敬っているということで「伺う」となったそうです。
伺うの使い方
ここでは、伺うの使い方と例文をみてみましょう。
「聞く」「たずねる」「問う」の意味で使う場合
例文
「興味深いお話を伺うことができました。」
「ちょっと伺いますが、~様ですよね。」
このような使い方になります。「興味深いお話を伺うことができました。」
「ちょっと伺いますが、~様ですよね。」
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窺うの意味と使い方
窺うの意味
今度は「窺う」の漢字の意味をチェックしてみましょう。
調べてみると以下のようになっています。
- 窺うの意味
- そっとようすをさぐる
- よいときがくるのを、じっと待つ
とあります。
よく「相手の顔色を窺う」って言いますよね、あれです。
この語源は「伺う」と同じで、元は同じ言葉だったそうです。
それがいつしか「そっとようすをさぐる」の意味の場合は「窺う」になりました。
もう一つの「よいときがくるのを、じっと待つ」というのがあります。
「そっと」
「じっと」
「じっと」
どちらも何か相手にバレないようにこっそりと、みたいな意味合いを感じますね。
そう考えると、こちらの「窺う」は「こっそりと」みたいな場面で使うのが妥当です。
窺うの使い方
ここでは、窺うの具体的な使い方と例文をみてみましょう。
窺うには意味が二つありましたね。
それぞれの例文をみてみましょう。
「そっとようすをさぐる」の意味で使う場合
上司のご機嫌を窺う
敵のベンチの様子を窺う
敵のベンチの様子を窺う
「よいときがくるのを、じっと待つ」の意味で使う場合
チャンスを窺う
反撃の機会を窺う
反撃の機会を窺う
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覗うの意味と使い方
覗うの意味
覗う=窺うとする国語辞典がほとんどです。
「覗」という字にどういう意味があるのか、見てみましょう。
「覗」の意味
のぞく のぞき見る うかがう
とあります。
では前項の「窺」の字の意味をみてみましょう。
「窺」の意味
うかがう 穴からのぞく
ほとんど一緒ですね。
そこで今度は過去の出版物に「覗う」が使われていたのかどうかを調べてみました。
- 大正三年に出版された「南蛮寺門前」
昭和五年に出版された「河童の話」
この中で「覗う」が使われていました。
文脈から推察すると「窺う」以上に「こっそりと」の意味が強かったように思います。
ただ、現在では窺う=覗うは同じとされています。
覗うの使い方
ここでは、覗うの具体的な使い方と例文をみてみましょう。
先ほど紹介した「南蛮寺門前」や「河童の話」では、
どのような使い方がされていたのでしょうか。
南蛮寺の門に近づき、つくづくと内を覗う。(南蛮寺門前より引用)
常に隙を覗うてゐる。(河童の話より引用)
常に隙を覗うてゐる。(河童の話より引用)
確かにこっそりと「うかがっている」様子が読めて取れますね。
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それぞれの違い
まず漢字が違いますので、漢字単体の意味を見てみましょう。
「伺」
うかがう。ようすをさぐる。のぞき見る。 待つ。機会をうかがい待つ。 たずねる。訪問する。
「窺」
うかがう。 穴からのぞく。
「覗」
のぞく。 のぞき見る。 うかがう。
こうして見てみると「伺」だけが訪問するという意味を含んでいます。
だから「訪問する」の謙譲語が「伺う」というのは納得です。
ただ、「伺う」も「窺う」も元々の語源が同じということで、「伺」の字の意味にも「機会をうかがい待つ」の意味があったり、「ようすをさぐる」の意味があったりするわけです。
それがいつしか使い分けるようになって、謙譲語の場合は「伺」、こっそりの意味がある場合には「窺」の字を使用するようになったのです。
そしてタイトルにもあった「ようすをうかがう」の場合は、こっそりの意味がありますので「窺う」になります。
ただ、現在では「窺」は常用漢字ではなくなりましたので、法令、公文書、新聞、雑誌などでは使えません。
そのためひらがなで書くというのが今では慣例となっています。
まとめ
今回は「うかがう」についてまとめました。
意味
伺う 聞く、問う、訪問するの謙譲語 窺う そっとようすをさぐる、よいときがくるのを、じっと待つ 覗う 窺うと同義
でしたね。
そして「窺う」は常用漢字ではないことなどもわかりました。
さあ、これで間違えずに「うかがう」を使うことができますね。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ
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